2023 01 08

骨ばった犬が、柵の向こうに転がる死体を見つめてじっと動かない。
死を目前にしてまで、主人の元を離れようとしない姿に心動かされ、最期くらい隣にいられるように、と柵を壊してやった。
その刹那、犬は狂気交えた勢いで死体にかぶりつく。
その時はじめて、俺は己の認識の誤りに気が付くのだった。

 

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